LEGEND

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伝説の不動産屋と半島を駆け抜けた。

「海の似合わない客には紹介しない」と言ったとか言わないとか、湘南の不動産屋として突き抜けた価値観を持つその人に相応しい逸話だ。ずっと会いたかったのだが、駆け出しで底の浅い僕はまだその時期ではないと思っていた。

「半島を案内するよ」、普通にでも目を輝かせてLEGENDは言ってくれた。彼の物件の多くは図面化されておらず価格も決まっていないものが多い。半島を横断し縦断し、彼は僕に珠玉の物件の数々を見せてくれるのだ。
出発前、ステンドグラスの嵌ったカウンターのある書類の山の中に灰皿の埋まった低いテーブルのある彼のオフィスで、LEGENDは住宅地図を何枚も何枚もコピーして貼り合わせて巨大な地図を作った。そして赤いマーカーで丁寧に物件の所在地を地型に合わせて記入していった。

後で気づいた、宝探しの地図だ。

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畑の中に続く一本道、その先の岬一個。

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外界から隔絶されたビーチと洞窟と断崖と廃墟化した旅館。

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穏やかな入江に接する土地、背後は森。
など、すべて売り物だ。

ありえなかった、少なくとも都心に近いこのエリアでは手に入らないものと勝手に思い込んでいた。海や森を求めてこの地にやってきた人たちが、いや、僕が欲しいものだった。
入江に向かって立ちつくす僕の背後でLEGENDはタバコに火をつけた。

帰り道、LEGENDが最後に案内してくれた場所は、彼自身の所有地だった。海接の広い敷地はとても不思議な景観の場所だった。懐かしいようなでもどこでも見たことがない小さな2階建の家が一軒建っていた。しかしそれはまだ始まりで、この先の計画はこころの中の古い記憶や眠っていた冒険心を呼び覚ましてくれるような壮大なものだ。

060904.JPG

欲しいものを素直に追い求め続け、何もあきらめない、少年時代の宝もののそれだ。
広告の裏紙にLEGENDは未来のランドスケープを描き続けている、何枚も何枚も。

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コメント(2)

短編小説を読んでいるみたいです。
素敵ですね.....。私もそこにいるかのような錯覚に陥りました!
次回も楽しみにしています。

 少年時代、藤沢から海岸線をどんどん歩いて行って、
日暮れ時に武山駐屯地にたどりつきましたが、
その海岸線だけは、どうしても入れなかった思い出があります。橋の無い水量のある川に阻まれて、134までの後退を余儀なくされましたが、子供心に外部を拒否する組織を感じました。その時の油を流したように静まり返る小和田湾に映る夕焼けを今でも覚えています。
 現在は流れ流れて茨城在住ですが、少年時代を過ごした湘南は、今も心の帰る場所です。

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このブログについて

湘南病にすっかり罹ってしまった私フジイは、この地で不動産屋「稲村ガ崎三丁目不動産株式会社」を開業。
そして2008年12月15日稲村ヶ崎R不動産を公開しました。なぜ鎌倉・湘南なのか、僕の体験を通してその理由をお伝えしてまいります。

著者紹介

藤井健之

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