富士山を登った、正確に言うと九合目付近までだけど。
スケジュールの関係で午後3時30分に五合目を出発した。
ゆっくりと歩いた、高度のせいか軽い頭痛がする、見上げると森林限界を越えた赤茶色の山肌が青い空をすこしいびつな三角形に切り取っている。
湘南から見慣れた山の形ではない。紫外線のせいか空気の色も違う。

ひさしぶりの山歩きだ。高度を上げるにしたがって気温も下がり、暑さが遠のいていく。斜面をジグザクに切り取った単調な登山道がえんえんと連なっていて、見下ろすと湖と町、そして右手の稜線のずっとさきに太陽は沈んでいく。空の色はこくこくと変わって、淡い光が濃い光へ、そしてゆっくりと暗闇が訪れた。
足元を照らすヘッドランプの光をたよりに一歩、また一歩と足を前に出す。汗は乾いて涼しくなってきた。
山を歩く時は、なにかを考えているようでなにも考えていない気がする。
次の足をおろす場所を慎重に選んで砂利を踏みしめ、そして反対の足を上げる。のどが乾いたら、歩きながら水を飲む、腹が減ったらおにぎりかチョコレートをかじる、寒いと思ったらレインジャケットかフリースかどちらが適当か、どこでバックパックを下ろすかなどぼんやりと迷っていたりする。
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斜面には一定間隔で山小屋があった、小屋と小屋の間は暗闇だ、はるか下方に町の光が見える、空を見上げると星。道の先にはほのかに光が見える、次の山小屋だ。
とりあえずその明りの場所が目標となる、そこで何かとてつもなく素敵なことが待っているわけではないことは分かっている。
ただ足を前に進める理由を手に入れた、ということだと思う。
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3450mの表示があった、頂上まであと40分のところで下山することにした。いまならまだ温泉に間に合うかもしれない。そう、頂上に立ちたいわけではなく、ただ前に進みたいだけなことに気が付いた。
その理由がなんであれ。


富士山、行かれたんですね。
「頂上に立ちたいわけではなく、ただ前に進みたいだけ・・・」。
深いですね。
私も湘南にやってきて1年ちょっと経ちましたが、混乱したり、見えてきたりの繰り返しです。
でも、昔より自分が好きになっているのを感じます。
今まで信じ込んでいた概念が崩れていくようで、実は本来の自分に戻っていく感じと言ったほうがいいような・・・。
旅はまだまだ続きますが、藤井さんの過去のブログを拝読しつつ、自分の内面を振り返ると、気づくことが多いです。
そういう意味では、このエリアで暮らすことは、「無垢」の自分と出会うことなのかもしれませんね。
もう、他の町には行けないかもです。
変な言い方ですが 一番大好きな不動産屋さんです。もっと早くに会社を立ち上げて下さってたらなあ。迷うことなく藤井さんにお願いして海辺の町で暮らしていました。でも、絶対いつか海辺の町の鄙びた家で暮らします。その時は、必ず藤井さんのお力をお借りします。どうか、いつまでも お元気でこのお仕事をなさっててくださいますように。